桜の樹が立ち並ぶ小学校の隣、閑静な住宅街にある畑に囲まれた市街化調整区域の土地。 ご夫婦の「和」への想いを軸に、高さを抑えた安定感ある建物の縦横比、古い家の換気棟をイメージした屋根の重なりと勾配、連続した柱による奥行感、いぶし和瓦による一文字軒瓦と風切丸のライン、町家の厨子をイメージした連装窓と出格子をイメージした開閉切子格子建具、庇・垂木ライン・縁側が切り取るピクチャーウィンドウなどを無理なく組み合わせることで「和」のもつ美しさを表現し、周りの景観に十分配慮しました。 庭を眺めながらご主人がゆっくりお酒を飲むための場所としての「月見台」を中心に、友人と愉しむための和風旅館をイメージした1坪黒タタミを中心としたLDK宴スペース、子供達が常に家族の気配を感じながら自由に遊べるリビング吹き抜けに面したファミリースペースを配したゾーニング計画としました。 アプローチ石畳によるシークエンスを徘徊し、玄関を開け、三和土風土間→アンティーク千本格子建具→1坪黒タタミ→開閉切子格子建具→月見台→つくばい(RC製)→十月桜が建物の軸となり、シンメトリのボリュームを形成しています。 その他、ヒノキの香る洗面室、市松をテーマにした寝室、花をテーマにしたゲストルームなどがあります。クライアント自ら京都で購入したアンティーク建具を全室に配し、構造材を含む木部塗装は全てクライアント自身による古色調合塗装です。 風、光、影、水、緑、木といった自然のエネルギーを十分に感じながら四季を過ごし、秋にはつくばいの水盤に月を写し、月見台にて瞑想しながら十月桜を背景にお酒をゆっくり愉しんで頂きたいとの想いから庵名を「月瞑庵(げつめいあん)」と命名しました。