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飯盛の民家 軸組再生の住まい

設 計|木村哲矢

施 工|ASJ 敦賀スタジオ[新保興業株式会社]

構 造|木造軸組構造 平家建て(将来工事として地上2階建て対応)

撮 影|中村写真工房/中村大輔

この計画は、当初、改修工事として始まりました。 それはこの地方に特徴的な叉さす首構造の茅葺民家でした。暗闇の小屋裏は荒縄で緊結された叉首と竹・茅が素朴で濃密な空間を形作っていました。

いったんは決定を見た改修計画案では、この小屋裏の闇の中に陰翳礼讃の間を設けることをもくろみましたが、ご家族間の話し合いの中で茅葺の維持管理への不安から、既存民家は取り壊し、新築計画とすることとなりました。

新築計画に当たり、一からの新しい建物ではなく、解体する民家の柱・梁などの木材や建具などを新たな建物に受け継ぎ再生させることは、建築主の方にも私にも共通する想いでした。

丸太の梁が露出する豪壮な小屋組みの空間は、従来の日本の民家では土間や囲炉裏の空間の上部にひろがり、煙出しなどからわずかに差し込む光や囲炉裏の炎に時折浮かび上がる漆黒の空間です。

けれども現代に新しく再生する民家として、闇の美しさではなく、光の美しさによる民家を考えたい、長い年月住まいを支え生活を見続けてきた柱と梁に光をあてて祝福したい、と私は願うようになりました。

改修計画の折に思い描いておりました闇のイメージの一切を捨て去り、小屋裏を自然の光で満たすこと……。

吹抜けの高い天井には全面に太鼓張りの紙障子を張りわたし、その組子は豪壮な小屋組みに対して繊細なデザインとして、控えめに和紙に包まれています。小屋裏に充満した自然光は紙障子を通して柔らかく降り注ぎ、住まいの骨組みを美しく浮かび上がらせます。

小屋裏にはあえて照明を組み込まず、曇りの日には陰のある光を、そして夜にはひっそりと漂う闇にと、骨組みにも自然の移ろいと時間を与えるようにしています。

新たな衣をまとった住まいの骨組みたちは、光と影を映し悠然と時を刻んでいきます。

(木村哲矢)

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