A-COLLECTION

HASU −斜− 南西よりみる全景 HASU −斜− 三角形の吹き抜けから光が差し込む HASU −斜− キッチン HASU −斜− 玄関ホール
HASU −斜− リビングからの見上げ HASU −斜− リビングからキッチンとダイニングを見る HASU −斜− リビングから階段を見る HASU −斜− 子供室2からオープンスペースを見る HASU −斜− オープンスペースから子供室1と子供室2を見る HASU −斜− オープンスペースを取り囲むように子供室が配置されている HASU −斜− 通りに対して斜に構えるエントランス夕景
HASU −斜−

設 計|加藤純竹内美穂

施 工|ASJ 四日市スタジオ[株式会社上村工建]

構 造|木造在来工法 地上2階

撮 影|米田正彦

三重県桑名市の市街中心部は海に近い平坦な土地であり、区画整理による整然とした格子状の街路で構成されています。混在するさまざまな商業ビルと家屋が、ゆとりのある幅員のアスファルト道路沿いに建ち並ぶ光景は、どこかしら無機質な雰囲気を漂わせています。

街の「□型」区画は、合理性や経済性を考えれば当然の結果なのですが、そのルールは、敷地や建物、ともすれば間取りに至るまで適用されてしまいます。

然るべくか、この街で生まれ育った建主が持ち出した家のキーワードは、「斜め」でした。

それは、かつて街に存在した混沌へのノスタルジー、または家に求める変容のエレメントでもあると解釈し、いくたびかの提案の末に、街に対して45度斜(はす)に構える間取りを基準として、街の区画により家の輪郭をリフレーミングする計画となりました。

外観は街の属性を帯びるサイディング張りで家の輪郭をまとい、敷地に入ると駐車スペースから「斜め」が始まることが分かるよう、板張りの外壁で対比させています。

玄関を抜けるとすぐに方向感覚がゆらぎ、意の異なる「家」と「街」ふたつのルールの共存が、対峙や融合の関係を繰り返す、ある意味有機的な連鎖を感じられる空間となっています。

45度の三角形からできるデッドスペースを最小限におさえる一方、三角形を採用した吹き抜け上部から下階まで降りてくる光は、小スペースでも効果的にふたつの関係を浮かび上がらせています。

作り付けの食卓はV字に折れてキッチン作業台と一体化し、食卓のベンチはリビングの背もたれや階段の一部になるなど、多様な場が生じる仕掛けとしています。それに伴う照明計画は、広い範囲で可動するアーム式照明器具を使い、天井部の立体感を優先させる局所的なライティングとしています。これら天井と床の凹凸が呼応しあうことで、平面的に錯綜しているふたつの関係の調和をとることを意識しています。

ある特定の場に、特定の住まい手のための最適な空間を考えるとき、そのスタートラインは必ずしも□型ではない、そんな当たり前のことが心に残る家となりました。

(加藤純+竹内美穂)

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