A-COLLECTION

土岐の住宅

設 計|諸江一紀

施 工|ASJ 飛騨高山スタジオ[株式会社井上工務店]

構 造|木造 地上2階

撮 影|中村絵

クライアントとの出会いは約3年前。当初は別の敷地でプレゼンを行った。南下がりの崖上部にあった敷地はわかりやすい方向性をもつ環境であった。諸事情により敷地が変わり、次の敷地は明確な周辺環境の差異はなかったが、微差を丁寧に読み取り、応答しながらも自律性のある建築を目指した。

南側前面道路は土岐市駅前から続く、やや交通の多い県道であり、駅付近には旧街道の面影が残る。北側には親族が所有するアパートがあるため、影を落とさないようにまず敷地南側に寄せて配置し、ヴォリュームも南側を高くし北側を低くした。

南側リビングはプライバシーを確保するために地盤面から2mほど上がっている。東側のダイニングキッチンもアパート駐車場の出入りがあるためレベルを1.2m上げている。

内部では立位のキッチンや椅子座のダイニングと床座やソファ座のリビングとの目線の高さを合わせている。子供室前の掘りごたつ式スタディコーナーからはリビングに座る人の頭を越えて、南の大開口が望める。

開口部も環境に応じて、日射を得る南側大開口、プライバシーを確保しつつ光を得る東側ハイサイド、北西に田園風景が広がるコーナーレス窓などが選択されている。なお、南面開口には地盤面とのレベル差だけではなく、バルコニーや袖壁で奥行きを持たせたうえ、バルコニー外側に外付けブラインドを設置し、視線と日射熱をコントロールしている。

このように周辺状況に応答しつつ、内部の行為にふさわしい身体状態を誘うものとして回転しながら上がるスキップフロアの構成が導き出された。環境や行為に応答しただけのバラバラな状態の中央に象徴的な階段を設けることによって求心性を持たせている。リビングとダイニングの間の大階段はお互いを繋げ、座ったり、ものを飾ることができる。一方、寝室へのササラ階段は心理的距離を保っている。

外壁の焼杉は古い町並みとの調和だけではなく、軒なしでアルミサッシュと組み合わせることで炭のギラツキ感がモダンな見え方をする。

(諸江一紀)

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