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家づくりの経済学
58
家づくりの経済学(58) 税金の話(1)
コラムでは家づくりにかかわる税金の話をあまり取り上げてきませんでした。しかし、消費税引き上げの議論も本格化するなど税制見直しに向けた動きがが活発化してきています。改めて、住宅・不動産にかかわる税金を通じて、家づくりのことを考えてみたいと思います。
「住宅政策の基本は、金利と税制の2つをどう動かすかだけのこと」—日本の住宅政策の舵取りを行っている国土交通省住宅局の若手官僚の言葉に、思わず納得させられたことがあります。
政府では、これまでも国民の住宅取得を促進するための施策のほかに、住宅の耐火・耐震性能の向上や、省エネ化、高齢者対策としてのバリアフリー化など様々な施策を講じてきました。国民に巨額の借金を背負わせて投資をさせたり、社会ストックとして残る性能の高い(建築費も相対的に高くなる)住宅を作らせたりしようと考えれば、何らかのインセンティブが必要になるのは当然です。
住宅の耐震診断や省エネ機器の導入などで補助金が出るケースもありますが、私有財産である住宅に税金をどんどん投入するわけにもいきませんから、結局は住宅ローン金利と税制を上手く使って誘導することになるわけです。
住宅ローン金利は、これまでは住宅金融公庫の直接融資を上手く活用してきました。一定基準の耐震性能や省エネ性能などを満たした住宅には、最も安い基準金利を適用し、そうでなければ金利が高くなるといった手法が使われてたわけです。
しかし、住宅ローンに関しては、民間からも金利が安い商品が多く登場してきており、かつての公庫の直接融資のように民間ローンに比べて圧倒的に有利な条件を示すことで、国民を誘導することが難しくなってしまいました。もちろん住宅金融公庫の新型ローン「フラット35」にも、耐久性などの技術基準が定められていますが、昔に比べて民間ローンと商品力で大きな差があるわけではありませんから、政策ツールとしての力がかなり限定的になってしまったと言えるかもしれません。
もう一つの重要な政策ツールである「税制」はどうでしょうか?
ある意味、政府が税制をどう動かしたかで、住宅市場をどの方向へと導こうとしているのか、見えてくる部分もあります。もともと家を建てるつもりのない人にはあまり影響のない住宅税制ですが、家を建てたいと考えている人に対しては、住宅・不動産投資を促進したり、抑制したりする大きな力を持っているからです。
「住宅取得控除の優遇が続く今が買いどきだ」、「消費税の引き上げ前に買うべき」—。消費者心理を煽るような見出しをつけた記事を見かけたことも多いでしょう。税制は、そうした記事にとって格好の材料になります。
確かに消費税率がアップすれば、その分建築費も高くなる可能性はあるわけですから、誰もが家を建てるのも急ごうと思うでしょう。しかし、無理に急いで住宅を購入して、あまり満足できる家でなかったり、厳しい資金計画でローン返済が困難になったりしても、別に政府も、記事を書いた雑誌や記者が責任を取ってくれるわけではありません。
最終的に、家づくりを行うのは、建築主の自己責任。冷静な投資判断を行ううえでも、税制に込められた政府の意図がどこにあるのかを理解することも必要だと思うのです。
住宅税制として最も良く知られているのは、「住宅借入金等特別控除」いわゆる“住宅取得控除”でしょう。住宅ローンを使って住宅を取得した場合、住宅ローンの年末残高合計額に応じて所得税の控除が受けられる制度です。下記に示したのは、国税庁のタックスアンサーのホームページに掲載されていた居住用に供した年の違いによる控除額の表ですが、この表をどのように理解すれば良いのか?その話は次回に。
【居住の用に供した年の違いによる控除額】
注)最大控除額の欄は、筆者が独自に追加。
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