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家づくりの経済学
50
家づくりの経済学(50) 耐用年数の話(1)
最近、太陽光発電システムを装備した住宅のテレビCMをよく見かけるようになりました。電力会社やガス会社も、省エネを前面に打ち出した新しいシステムのテレビCMを積極的に流しているので、消費者の関心も高まってきていると思います。
太陽光発電システムについて、最近の技術動向はあまり詳しくないのですが、20年近く前の駆け出し記者時代に、現在の三洋電機社長の桑野幸徳氏がまだ技術研究所で太陽電池研究の室長だったころ、何度か取材して技術の基本を教えていただきました。その当時「経済効率だけを考えたら、太陽電池を実用化するのは並大抵のことではない」と実感したことをよく覚えています。
先日、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究で太陽光発電の実験を行っているエネルギー供給会社の方に取材する機会があったので、久々にその話題を聞いてみました。
「そりゃ、もちろんペイしませんよ。太陽光発電システムの価格を現在の3分の1まで下げないと無理でしょうね」。20年前と比べて状況が劇的に改善されているわけではないようです。
太陽光発電パネルそのものは半永久的に利用できるのですが、付属部品などを含めた耐用年数は「せいぜい15〜20年程度」と言うのです。その間に発電できる電気量を電力会社などから購入してくる場合の料金で換算した場合、太陽光発電システムを設置する費用の“3分の1”しか賄えない計算になるというわけです。
もちろん“3分の1”というのは少々オーバーだという指摘も聞きますが、私が取材して聞いた限りでは経済効率の問題をクリアするのはなかなか難しいようなのです。
こうした状況をカバーするために、経済産業省では「太陽光発電導入促進事業」という補助事業を実施してきました。税金を使って差額分を穴埋めをしようとしてきたわけです。
補助金の支給額は、以前1KW当り15万円だったと記憶していたのですが、新エネルギー財団のホームページを見ると、03年度で9万円、今年04年度は4 万5000円。太陽光発電システムが安くなってきたためか、財政悪化のためか、補助率は下がっているようです。
太陽光発電システムは、セキスイハイムが搭載している5.5KWのもので250万円ぐらい、3KWのものでも200万円ぐらいはするようです。補助金を差し引いても耐用年数15年で計算すると、1年当り15万円、1月当り1万2500円分の電気を発電しないとペイしない計算になってしまいます。住宅ローンを組んで初期投資する金利負担を加味すれば、月1万5000円分は稼いでもらいたいところです。
シャープのホームページにある「太陽光シミュレーション」を使って計算すると、月1万5000円分に相当する年間消費電力量は約 8000〜9000KWh。一方、埼玉県熊谷市で4.14KWのシステムを南面に設置した場合の年間発電量は約4500KWh。ほぼ半分という結果でした。
やはり経済効率だけを考えれば、現時点では太陽光発電システムを導入するメリットがあるとは考えにくいように思えます。
もちろん、将来的にもメリットがないと言うつもりはありません。
最大のポイントは『環境税』(炭素税)がどうなるかでしょう。
今月(11月)2日に、ロシア議会が、地球温暖化防止のための京都議定書に批准したことで、来年2月にも京都議定書が正式に発効する見通しとなりました。これに伴い、日本でも今後、環境税の導入に向けた議論が活発化するのは間違いないところです。
もし、環境税が化石燃料エネルギーにかけられ、その分を太陽光発電システムなどの導入の補助に回されれば、状況が大きく変わる可能性はあります。
長々と太陽光発電システムの話をしてきましたが、この話題を取り上げたのは『耐用年数』について考えてみたいと思ったからです。
太陽光発電システムが経済効率だけではメリットがあると考えにくい—という論拠も、実は耐用年数が「15〜20年程度」との証言が正しいと仮定したからです。
もし、耐用年数が30年以上で、その間も劣化せずにコンスタントに発電量を確保できるのなら、現時点でも何とかペイできることになります。
ただ「元を取る」だけで30年もかかるとなれば、住宅の寿命が30年と言われている状況で消費者に投資を促がすのはまだ厳しいかもしれませんが…。
国の住宅政策も、新築一辺倒(フロー中心)から、既存の住宅を活用する(ストック中心)へと移行しようとしています。その方向性は正しいと思いますが、その時に問題となるのがストックの耐用年数がどれくらい残っているか?という点でしょう。
法隆寺のように、1000年以上も使われ続けるストックもあれば、わずか20年で取り壊さなければならないストックもある。建物の構造体と屋根や外壁、さらに太陽光発電システムや風呂、トイレなどの住宅設備ごとにも耐用年数は異なる。
良質な住宅ストックを40年、60年と使い続けていこうと考えるのならば、耐用年数と修繕・補修について改めて考えていく必要があると思うのです。
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