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家づくりの経済学
44
家づくりの経済学(44)家計に占める居住コストの割合は?(4)
この連載コラムでは「居住コスト」の考え方をベースに、家づくりについて考察していますが、家計を考えるうえでも「居住コスト」の考え方は有益であると思われます。
[居住コスト]=[金利負担]+[減価償却費]+[維持修繕費]+[固定資産税等]+[保険料等] これが居住コストを表す数式と私が考えているものですが、実際には支払っていない[減価償却費]が要素として入っているので、「ピンと来ない」という方もまだ多いかもしれません。
確かに金利負担を含んだ住宅ローン返済額と、維持修繕費、固定資産税、保険料などは実際に家計から支払われていくお金ですから、「住居費」=[住宅ローン返済額]+[維持修繕費]+[固定資産税等]+[保険料等]という数式で表せば、問題ないように思えます。
しかし、20年後、30年後に住宅を売却して時点で、改めて「居住」にかかったコストを計算してみるとどうなるでしょうか?土地・建物は資産として売却でき「住居費」として支払ったお金の一部が戻ってくるわけですから、「居住コスト」=「住居費」−「売却価格」と考えるのが適当ではないかと思うのです。
この数式では、「売却価格」に含まれる地価変動リスクも、居住コストに反映されることになります。地価変動リスクを居住コストに含めると、賃貸住宅などの居住コストと比較するのが難しくなると思ったので、地価変動リスクを反映しない形となる冒頭の数式で考えているわけです。
例えば、初期コスト(土地+建物)が同じ4500万円の住宅でも、土地3000万円+建物1500万円の<住宅A>と、土地1500万円+建物3000万円の<住宅B>とで、居住コストを考えてみるとどうなるでしょうか?
自己資金2割で、残りを住宅ローンで住宅を建てる場合には「住宅ローン返済額」は<住宅A>と<住宅B>とでは同じになります。固定資産税は土地の比率が高い<住宅A>、維持修繕費や保険料は建物の比率が高い<住宅B>がそれぞれ高くなると考えられますが、トータルではそれほど大きな差にはならないでしょうから「住居費」はほぼ同程度となります。
しかし、20年後、30年後の「売却価格」はどうなるでしょうか?地価が安定していた場合、<住宅A>は3000万円以上で売れる可能性は高いでしょうが、建物の資産価値があまり高く評価されない現状を考えれば<住宅B>の売却価格は2000万円以下になってしまうかもしれません。
「居住コスト」=「住宅費」−「売却価格」の数式に当てはめて考えれば、同じ総額4500万円の住宅でも、「居住コスト」で比べると「<住宅A>の方が<住宅B>より安い」と考えることができるのです。
【定説2】「住宅ローンの年間返済負担率は、年収の20〜25%以下」—コラム(42)で紹介した定説も、<住宅A>と<住宅B>とでは意味合いが違ってきます。
毎月、住宅ローン返済で同じ金額を支払っていても<住宅A>の場合には土地購入のために支払っている金額が<住宅B>より多いことになります。
別に土地神話を煽るつもりはありませんが、土地は株式や債券などと同じ換金可能な資産。もし地価が下落しないのであれば、住宅ローン返済の一部を「土地」という形で貯蓄していると考えることもできるわけです。
老後に備えて住宅ローン返済で苦しい家計の中から、貯金したり、株式などに投資したり、個人年金に加入したりと、資産=家財を増やそうと努力している方も多いと思いますが、<住宅A>を購入した方は土地に投資している分、貯金するお金を多少減らしても良いと言えるかもしれません。
何やら「土地の高い住宅を買え!」と勧めているように思われそうですが、決してそうではなく、居住コストと不動産への投資を分けて考えることが重要になってきていると言いたいのです。
これから始まる急激な人口減少社会で、地価下落リスクが一段と高まると判断するなら、土地には投資せずに、その分を貯蓄や株式投資などで運用するという考え方もあるでしょう。安い土地を購入して家計に無理が生じない居住コストの範囲で良い家づくりを行い、老後の備えは土地以外で別途考える—そんなライフプランも考えられるのではないでしょうか。
一方で、土地という資産は、インフレ対応力に優れていると言われていますから、20年、30年後を考えた場合には、土地に投資するのが有利と考える方もいらっしゃるでしょう。
日本にも「リバースモーゲージ」制度が導入されて、家に住みながら土地資産を換金して年金のような形で受け取る仕組みを利用することが可能になってきています。
私自身はリバースモーゲージについてはまだあまり詳しくありませんが、愛知県高浜市が提供している制度を見ると、年齢65歳以上、対象は土地付き一戸建て住宅(マンションなどは不可)、抵当権などが設定されておらず、土地評価額は2000万円以上、融資限度額は担保不動産評価額の7割までとなっています。
これに当てはめて考えると、<住宅A>は2100万円までリバースモーゲージで融資を受けられる計算ですが、<住宅B>は対象外となってしまいます。総額が同じ住宅でも、資産として考えた場合、残念ながら現状では大きな差がついてしまうのです。
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