HOME
|
会社概要
|
サイトマップ
|
お問合せ
A-Style
家づくりの経済学
13
家づくりの経済学(13)住宅ローンと金利負担
住宅ローンについて「金利負担」の視点で考えてみることにしましょう。
新聞やインターネットなどのメディアで住宅ローンに関する記事は数多く見かけますが、「金利負担」に焦点を当てた記事はあまり見かけたことがありません。
「住宅金融公庫などの金融機関から、いくら住宅ローンが借りられるのか?」とか、「金利はどれくらいで、月々の返済額はいくらになるか?」といった「フロー」の話が中心でした。
住宅ローンを貸す側にとっては、返済が滞りなく行われるかが最も重要なわけですから、「フロー」の話ばかりをするのも当然です。返済期間を長くすれば月返済額は小さくなって無理なく返済できますが、その分、金利負担がどれだけ増えるのかを借り手にわざわざ教える必要もないわけです。
住宅ローンは他の貸出債権に比べても貸し倒れリスクが低く、しかも土地・建物も担保に取って生命保険にまで加入させているのですから、金融機関にとって非常に安全な貸出債権なのです。最近、民間金融機関が住宅ローンの販売を積極化しているのもそのためでしょう。借りる側が「金利負担」などを考えずに、月々の返済額が無理のない範囲で長期ローンを組んでくれた方が都合が良いのかもしれません。
借りる側にとっても無理ない範囲で返済できることは重要なわけですが、「金利負担」もできるだけ軽減するという視点が重要になっていると思うのです。
「自分が賃貸事業者になって自分に住宅を貸す」と考えた場合には、地価変動要因を除くと、次のような数式が成り立つと考えられます。
[家賃]×[居住期間]≧[金利負担]+[減価償却費]+[固定資産税等]+[維持管理費]+[保険料等]
住宅を借りる側(自分)にとっては「家賃」をできるだけ低くしてもらいたいわけですし、貸す側(自分)にとっては「居住期間」を短くして投資を回収したいと考えるでしょう。いずれにしても数式の右辺にある[金利負担]や[減価償却費]などの要素を出来るだけ小さくしていくことが望ましいことになります。
金利負担を軽減するための方法を改めて整理しておきましょう。
大きく2つに分けることができます。ひとつは金利負担そのものを減らす考え方、もうひとつは金利負担の発生源である元金を減らす考え方です。
金利そのものを減らす方法は、金利を下げるか、返済期間を短くするか、のどちらかです。すでにローンを借りている場合は、より低利なローンに借り換えるか、繰上げ返済するか、となるわけです。私も一度だけお会いしたことがあるのですが、経済ジャーナリストの荻原博子氏が、テレビなどで住宅ローンの繰上げ返済を盛んに推奨するのは、金利負担の軽減に非常に効果があるからです。
これまでのシミュレーションで何度も取り上げてきている事例(頭金900万円、住宅ローン3600万円の総額4500万円)で、効果を検証してみましょう。ただ、金利が途中で変わるのは計算が面倒ですので、35年固定金利3.0%、元利均等返済方式で3600万円を借りるという単純な条件に変更させていただきます。
(1) 金利3.0%・35年=月返済額13.8万円、金利負担2218万円
(2) 金利2.6%・35年=月返済額13.0万円、金利負担1886万円(▲332万円)
(3) 金利3.0%・30年=月返済額15.1万円、金利負担1864万円(▲354万円)
(4) 金利2.6%・30年=月返済額14.4万円、金利負担1588万円(▲630万円)
今回のケースでは、「金利負担」で比べると、返済期間を5年短縮するのは、金利が0.4%低下するのに匹敵する効果となりました。(1)と(3)を比べると、月返済額は9%増えますが、金利負担は15%軽減されることになります。
一方、元金を減らす方法は、基本的には自己資金を増やすしかありません。相続税の非課税限度額が引き上げられた措置などを利用して、頭金を300万円増やしてみたらどうなるでしょう。月返済額は(1)とほぼ同等になるように返済期間を設定すると、次のようになります。
(5) 金利3.0%・30年=月返済額13.9万円、金利負担1708万円(▲510万円)
金利負担は、頭金300万円を追加した分を差し引いて、210万円軽減した計算です。
「金利負担」を軽減する方法は、もうこれで終わりではありません。発想の転換を受け入れれば可能性は他にもあります。その話は、次回に。
筆者にメールを送信する