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家づくりの経済学
12
家づくりの経済学(12)家づくりのバランスシート
月々出て行くお金(フロー)だけで見るのではなく、資産価格(ストック)も含めて家づくりを考える—「持ち家と賃貸、どちらが得か?」のシミュレーションをかなり細かく行ってみたのは、デフレ時代の家づくりが抱えている問題点を、経済的な側面から考えてみようと思ったからです。それと同時に、こんな提案をしたつもりです。
「期限を区切って、家づくりのバランスシートを作成してみる」—インターネット時代を迎え、パソコンが普及したことで、消費者自らが面倒なシミュレーションを行えるようになったということです。
前回コラムのシミュレーションにしても、税理士やファイナンシャルプランナーでもない“素人”に近い私が、インターネット上のフリーソフトや表計算ソフトなどを利用することで、試行錯誤しながら試算値を出すことができました。固定資産税や減価償却費の計算方法も、役所や公認会計士、税理士などのホームページから情報を入手。購入したのは、不動産流通近代化センターの価格査定マニュアル(大成出版刊3900円)くらいです。
もし、パソコンやインターネットがなかったら、とてもシミュレーションを自分でしてみようなどとは考えなかったでしょう。このコラムの読者はもちろんパソコンとインターネットを活用できる方でしょうから、シミュレーションのやり方だけを理解すれば、自分でローンの返済期限や建築費などの数値を変えながら、様々なケースを冷静に比較検討できるわけです。
IT(情報技術)が社会にもたらした最大のインパクトは「情報の透明性」です。様々な情報がオープンにされ、世の中の様々な仕組みが“可視化”されれば、自ずと問題点が浮かび上がってくるものです。それを明らかにするためにも、消費者自らが自分のケースに当てはめてみてシミュレーションを行うことをお勧めしたいのです。
前回のコラムの試算表から、持ち家取得のポイントを次の4つに整理できるでしょう。
1) 金利負担
2) 維持修繕費用
3) 減価償却費
4) 居住期間
このほかに、個人では解決が難しい問題にもいろいろと気付かれたでしょう。「固定資産税などの不動産関連税が重過ぎないか?」とか、「中古住宅の価格算定方法など不動産流通に問題があるのではないか?」とか、「地価下落による資産デフレの影響も大きいのではないか?」といった問題です。
こうした問題も、実際に「家づくりのバランスシート」を作成して、全体像を“可視化”したことで見えてきたと言えるのではないでしょうか。
ここで、前回のコラムの内容について訂正をさせてください。少々言い訳しますと、前回のシミュレーションはこの連載コラムのために私が独自に組み立てたもので、まだ十分に検証ができていない部分がありました。申し訳ありません。
訂正したいのは、前回の表の中で、事業期間40年間の家賃(住宅ローンの返済額)部分の数値です。住宅ローンの返済額“相当”を、事業期間中、家賃として払い続けるという意味で書いたのですが、住宅ローンの総返済額(35年分)だけしか計上していませんでした。賃貸住宅では、住宅ローンが払い終わった後も、ローン返済額相当=年間181万円を家賃として払い続けなければならないので、家賃=6046万円+団信料+181万円×5年間=7151万円という計算でした。そうなると、収支は1416万円の黒字となり、地価がかなり下落したとしても黒字を確保できるという計算になります。
前回の数字に比べてかなり違ってしまいましたが、それでも“元を取る”のは20年間では無理で、やはり日本の住宅の平均寿命を上回って30年ぐらいは住み続けなければなりません。持ち家で“元を取る”には居住期間がポイントになるのは間違いないと言えそうです。
前回のシミュレーションを組み立てている段階で、私の頭の中では「持ち家と賃貸の比較を、居住期間を変数とした関数で表現することも可能かもしれない」というアイデアが浮かんでいました。今後考察を深めながらジックリ組み立てていきたいと考えています。
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