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家づくりの経済学
10
家づくりの経済学(10)持ち家と賃貸、どっちが得?(2)
前回のコラムで紹介した考え方で、「自分が住宅の賃貸事業者になって、自分に住宅を賃貸する」方法を詳しく考えて見ましょう。その前に、いくつか条件を設定する必要があります。
まず、賃貸事業に要する経費—[1]維持修繕費[2]火災保険・地震保険料[3]固定資産税等[4]金利負担[5]減価償却—を回収する『期間』を決める必要があります。10年で回収するなら、家賃を相当高く設定しなければなりませんが、40年で良ければ家賃はかなり安くすることができます。20年後には住み替えようと思っているなら、20年で回収するのが望ましいでしょうし、死ぬまで住むつもりなら50年に設定しても良いわけです。
もうひとつの条件設定は『地価変動』です。地価変動は、土地の所有者が背負うべきリスクで、20年後に住み替えるときに地価が上昇していれば利益になりますし、下落していればその分を損失として経費に上乗せする必要が生じます。
最後に、賃貸事業の収支も設定しておきましょう。自分が自分に貸すわけですから、もうけを出す必要はありません。損失さえ出なければ“利益ゼロ”でも良いのですが、家を建てるときに用意した自己資金を、預貯金などで運用した場合に得られる利息と同等ぐらいの利益を見込んだ形で事業計画を立てれば、よりリアルな感じになります。
【賃貸事業の概要】
第8回のコラムで取り上げたモデルケースで考えてみます。敷地面積50坪(坪単価50万円)で2500万円、住宅は坪単価50万円(延べ床面積42坪)で2000万円の総額4500万円の戸建て住宅を、“賃貸住宅”として建設して自分に賃貸する、という設定です。
事業資金は、自己資金として900万円、残り3600万円は銀行借入金(つまりは住宅ローンを借りるということですが…)でまかなうことにします。
[1] 維持修繕費
維持修繕費は、毎月コンスタントに出て行くわけではありませんが、5年間隔ぐらいでまとまった費用が発生します。月1万円、年12万円ぐらいで見積もっておきます(少々、足りないような感じもしますが…)。
[2]火災保険・地震保険料
火災保険、地震保険の「保険料」も、賃貸事業を継続するために建物所有者が支払う経費となります。火災保険は、保険金額2000万円で、木造住宅の保険料は年2万6200円。20年加入の場合は割引されて総額33万円程度となるようです。
地震保険(保険期間は5年間)は、地震の発生するリスクが大きい地域とそうでない地域で保険料は大きく異なりますが、保険金額1000万円で木造住宅の保険料は年2万8000円(5年間で14万円程度)を適用しておきます。
[3]固定資産税等
固定資産税も、住宅の所有者が支払う経費となります。税率は、固定資産税が土地と建物の評価額の1.4%、都市計画税は0.3%。土地の評価額は取得価格の7割程度として2500万円×0.7=1750万円。建物の評価額は新築時の査定でかなりバラツキが生じるようですが、2000万円×0.4=800万円とし、3年ごとに80万円づつ評価額が減額されるという設定とします。
固定資産税では、土地が小規模住宅用地(200平方メートル以下)の場合、軽減措置で評価額が6分の1に軽減され、さらに新築の場合は当初3年、2分の1の軽減措置があるので(292万円+400万円)×1.4%=9.7万円。都市計画税は軽減措置が3分の1なので、(583万円+800万円)×0.3=4.1万円。当初3年間は、合計で年13.8万円という計算です。
不動産取得税は、購入時にかかる税金で、税率は課税標準の3%。新築住宅は取得価格から1200万円控除された額が課税標準となり、(2000万円−1200万円)×3%=24万円。土地は、軽減措置が適用されて評価額1750万円×3%×1/2=約26万円。合計で約50万円としておきます。
登録免許税は、2003年度から大幅な改正が行われ、税率は課税標準の1%(特例措置)へ軽減されました。1750万円×1%=17.5万円。
[4]金利負担
通常、事業用資金の金利は住宅ローンの場合とは異なるでしょうが、今回の賃貸事業ではもちろん、住宅ローンの金利を適用します。第8回のコラムと同様に、当初10年間は2.4%、残りを4.0%の35年固定金利ローンという設定とすると、総返済額は6046万円で、元金3600万円を差し引いた金利負担は2446万円となります。これに融資手数料や抵当権設定などの費用も加わることになります。
[5]減価償却費
「木造住宅であれば、中古価格は20年で実質ゼロと査定される状況が続いてきた」—この連載コラムでも紹介しましたが、「なんだ、減価償却の耐用年数と同じだ」と思った方も少なくなかったかもしれません。
家づくりでは“20年”が、何かにつけて鍵となる数字であると言いましたが、実はここでも20年という数字は出てくるのです。企業会計では、収益を上げるために投資された資産のうち、土地のように劣化しないものは別として耐用年数のあるものは、耐用年数に応じて経費として減価償却するという仕組みがあります。
木造モルタル住宅の場合で、耐用年数は約20年。基本的には20年間で取得価格の約9割を償却していくことになり、毎年、その償却した金額だけ固定資産が減少していく形となります。
モデルケースの2000万円の住宅であれば年間償却費は90万円で、20年間で1800万円を減価償却していくことになります。(つづく)
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