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家づくりの経済学
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家づくりの経済学(7)—自己資金の話(1)
家づくりにとって大きな関門は、資金計画です。
自己資金だけで間に合う方はそう多くはないでしょうから、やはり住宅ローンを組んで家を建てるということになります。住宅ローンで借りるのは百万円単位、千万円単位という大きな金額ですから、情報収集や勉強にも熱が入るのも当然でしょう。
住宅ローンに関する情報は、本もたくさん出ていますし、インターネットでも住宅金融公庫ホームページの「賢い資金計画のたて方」、リクルート住宅情報の「住宅購入完全ガイド」、銀行のホームページにも「住宅ローン入門」などに詳しい説明が掲載されています。住宅ローンのシミュレーションができるサイトもありますし、実際の資金計画をたてる分には困らないでしょう。
ただ、気になっている点があります。「自己資金」の問題です。どの住宅ローンの解説にも「自己資金は新築・購入費用(諸経費を除く)の2割は必要」と書いてあるのですが、その理由があまり説明されていないのです。 リクルートや銀行のホームページなどでは、「一般的に2割は必要だと言われている」といった書き方がされているだけ。理由を説明しているのは、知る限りで住宅金融公庫のホームページぐらいです。その部分を引用すると、次の通りです。
「頭金が少ないとその分住宅ローンの返済負担が大きくなりますし、また将来住まいを売却せざるを得なくなったとき、ローン残高のほうが売却価格より高くなる可能性も高まります。頭金がない状態でマイホームを取得するのは危険なことと認識して、頭金づくり(貯蓄)に励んでいただきたいと思います。」 つまり、「頭金無し」の場合、物件を売却しただけではローンを完済できず、「家を手放した上に借金が残る」という最悪の事態も想定されるのです。
実は、住宅金融公庫では、つい数年前まで「頭金無し」の全額融資に応じてきました。いくら景気対策のために決まった政策だったとは言え、国民をミスリードしたことは確かです。そうした後ろめたさもあって「頭金無し」の危険性を訴える説明も少々迫力不足といった感じもしますが、ここまで説明を加えたのは反省の意味が込められているのでしょう。
自己資金の重要性を、住宅問題に詳しいビルダーズシステム研究所の鵜澤泰功代表が明快に解説してくれました。
なぜ「頭金無し」だと、家を売却しても借金が残るのか—それは、これまでのコラムで説明してきた家の「資産価格」と「住宅ローン残高」のグラフを重ね合わせてみれば一目瞭然だと言うのです。
今回は、基礎知識ということで、土地を含めずに家だけを建築する場合を想定して考えてみましょう。土地を含めた事例は次回のコラムで紹介します。
不動産流通近代化センターが作成している「価格査定マニュアル」の戸建住宅2003年度版が今月(7月)上旬にリリースされました。パソコンで住宅の延べ床面積や築年数、使用されている建築材料などのレベルや建築図面の有無などの査定項目データを入力するだけで、自動的に査定価格が計算されるソフトです。
価格査定の基礎となるのは、住宅の標準建築費です。実際にかかった建築費ではなく、近代化センターが住宅の構造別・地域別に毎年調査した建築費の平均値がベースとなります。例えば、木造軸組構造(いわゆる木造在来工法)の場合、東京23区や国立市などでは坪単価(3.3平方メートル)で約53万円、横浜市などが約50万円、大阪市などが約48万円、名古屋市が約44万円というように地域ごとにバラツキが出ます。
これらの坪単価は、柱、屋根や壁の仕上げ、システムキッチンや風呂の仕様など標準的な材料を採用した場合のデータで、建築材料が全て高級品で入力すると坪単価50万円が60万円になって査定結果も違ってくる仕組みです。
グラフで示した結果は、坪単価50万円の標準仕様、延べ床面積約42坪の木造軸組構造の住宅で、20年間、補修工事なども行わなかった場合に、査定価格がどう推移するかを示しています。築15年目に向けて一気に査定価格が下落していくことが判ります。
住宅ローン残高は、インターネット上に流通しているフリーソフトを使って計算してみました。家の査定価格は実質的には20年でゼロと言われており、家の担保価値がなくなってからもローンが残るのは問題ですので、返済期間は20年、ボーナス払いなし、元利均等返済方式で、金利は最初10年が年2.4%(固定)、残りが年4.0%(固定)に設定しました。
このシミュレーションで「頭金無し」(月返済額:10万5000円=当初10年)では、査定価格がローン残高を下回り続けるという結果となってしまいます。しかし、「自己資金2割」(月8万4000円)を入れると、月の返済負担が軽減されるだけでなく、資産価格がローン残高を下回るリスクは大幅に縮小するというわけです。
「頭金無し」でも、ローン返済期間を短くすれば、こうしたリスクを回避することは可能ですが、返済期間15年とすると、月返済額は13万円と「自己資金2割の20年ローン」に比べ一気に1.5倍に負担が重くなってしまいます。「自己資金」とは、住宅ローンのリスクを回避するのに必要不可欠なお金なのです。
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